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◆  SS ◆

マレマロマさん料理の旅

序章

  始まりは、いつも些細なこと、なのかもしれない。
 
 今回のお話は、ちょっとした失言がきっかけだった。
  期待を裏切った罰、と冗談とも本気ともつかない言葉。
 「寿司にしまショウ!」

 そしてそ の言葉通り、寿司にされてしまったマーマンが一人。
 その名もマレマロマ。

 彼は数日前、 初めて海の強敵を打ち破ったばかりだと言うのに。
 身は切り身とされ、酢飯に乗せられ握られ、彼はこんな姿に…
   ('e')††††††<<

 不思議なことにその身は時間がたつと復活する。
   ('e')[][][][][][]<<
 
 しかし大流行となり、また食べられ ていく…
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 食される マーマン、マレマロマ。
 これは、その切り身のひとつがたどる旅の経過の物語である。


第一章 エルフからの贈り物(ペルセフォネ嬢)

  学院のアイドル、天才5歳児ペルセフォネ嬢から、
 マレマロマ氏のもとに、贈り物が届く。
 一部骨がむき出しの マレマロマ氏は、それを受け取り驚愕する。

 〈料理済み*マレマロマ焼き〉食品(4)/10/5/2/塩/海サ カナの肉系。
  とても美味しそうなマレマロマさん。
  珍しい食べ物が好きな方に。 (’e’)■■■■■<<
  レシピ:{深海サカナの肉+小さな火}

 きちんと火のマナが 調合され、こんがりと焼かれた己の切り身。
 そして、体力UPの効果も秘めたこの料理。
 些細な贈り物にも妥協 しない、小さなエルフの心意気が感じられ、
 マルマレロ氏は身の復活しない骨を通り過ぎる隙間風に
 切なさを感 じつつも、いたく感動したのであった。

 
第二章 旅立ち(マレマロマ氏)
 
  さてはて、この贈り物をどうするべきか。
 マレマロマ氏は考える。
 
 己の身を離れてし まったこの切り身。
 このまま食せば、共食いである。
 ……なにか、なにかできないかと。

  どれくらい時間がたったのだろう…
 
 おもむろに調理鍋を用意して、マレマロマ焼き…己の切り身…を
  その中に入れれば、調合を開始する…

 〈再調理2*マーマンパスタ〉食品(4)/10/5/2/塩/海サカナの 肉系。
  焼いたマレマロマを細くパスタ状に切りゆでたもの。
  特殊効果はない。。

 よし、 旅立つのだ、マレマロマの代わりに…
 そして、友人に己の切り身で作った料理を渡したのであった…


第三章 友の意を汲む(リリ氏)

  寄り合い所でぼんやりと皆の雑談を聞いていたリリ氏。
 料理好き、いや、一部でパティシエ並みのお菓子を作ると名高い。
 
  そんな彼に、骨を見せつつ顛末を説明するマレマロマ。
 己の切り身で作った「マーマンパスタ」を手渡し、
 再調 理してほしい、と依頼する。

 一瞬ためらうリリ氏。
 友人の身を調理するなど、前代未聞で ある。
 しかし、一人の料理人としての興味が勝ったのか。
 
 工房に持ち帰り、調合を開始 する。
 
 〈再調理3*マーマンつみれ〉食品(4)/10/5/2/塩/海サカナの肉系。
   マレマロマパスタをさらにつぶして練り、丸めたもの。
  特殊効果はない。。

 揚げても、煮付けてもおいしい、つ みれ。
 応用範囲の広い加工食品への調合は、リリ氏の持ち味が生きた一品となった。


第四章 天使の料理(ルーシ嬢)

  リリ氏の調理した料理のうわさは、瞬く間に寄り合い所で
 のんびりとすごす錬金術師の話題となる。
 
  次の調合を引き受けたのは、ルーシ嬢。
 天使のごとき微笑で、「マーマンつみれ」を受け取れば、
 じっと何に調 理するか考える。
 その真剣な表情は、神が生命を生み出す時のような
 神聖で、神々しいものだったとか。
 
  工房へ飛びかえり、〈妖精の木皿〉に「マーマンつみれ」を乗せれば
 調合を開始する。

  〈再調理4*マーマンラーメン〉食品(4)/10/5/2/塩/海サカナの肉系。
  海サカナの肉系。マーマンつみれを細かく切り刻 んだ品物。
  時々ぴくぴくと動く…

 そして、成功した料理は、生きのいい魚の持ち味を復 活させる一品となった。
 天使ならではの料理である。


第五章 美しき もの(レオルディス氏)

 ルーシ嬢が次に指名した人物は、カフェ&バー Kanonのウェイター
  レオルディス氏だった。

 彼のもつ〈山猫のエプロン〉は見た目も性能もぴか一の調理調合具である。
  さぞかし、料理の腕もすばらしいことだろう。

 そんな彼は、焼き魚からの経緯をききつつ、じっと考える。
  湯気の上がるその料理に、少しだけ眉を動かせばそれを盆にのせ、
 寄り合い所を去った。

  己の工房に帰り、なにやら白い粉末を取り出し、
 「マーマンラーメン」に加えれば、調理を開始する。

  〈再調理5*マーマン細工〉食品(4)/14/7/2/塩/海サカナの肉系。
  マレマロマを模った飴細工。ラーメンの味がする? 
   それが如何しましたか?(にっこり

 すでに、原型がわからなくなるほど加工された切り身。
  食べやすさ、美味しさではなく、上白糖を加え、
 その見た目をマレマロマ氏のミニチュア化することにより、
 美 しい料理と成した一品。
 さらりと加工値を上げるあたりが……彼らしい。
 

第 六章 技巧の心(ルーシェ)

 レオルディス氏が持ち帰ったその飴細工。
 輝くうろこまでが 再現されており、なんとも美しい。
 じっとそれを見ていると、僕もこの旅に参加したくなった。

  しかし、問題点は僕の鍋だと、この素敵な素材をぶち壊しかねない、
 ということだった。

  正直にレオルディス氏に相談すれば、エプロンを貸してくれるとのこと。
 それは、とてもありがたい申し出だった。

  そこで、調合したものがこれ。

 〈再調理6*マーマン甘露煮〉食品(4)/14/7/2/塩/海サカナの肉系。
   少し醤油を加え煮込めば細工の砂糖が溶け、甘露煮に。
  さまざまな出汁のおかげでコクがあるとか。

  レオルディス氏の作った細工を損なわず、かつ、
 食べるにも美味しいものとするために、甘露煮とした。
 じつ は、これ二度調合している。
 一度目に、「再調理6」を入れ忘れたのである。
 ………いつまでたってもドジは直 らないものである。

 

第七章 美食の追及に妥協な し(コレット嬢)

 僕が甘露煮を寄り合い所に持ち帰ると、
 その香りをかぎつけたのか、小 柄な少女がやってきた。
 きらきらと目を輝かせ、甘露煮を見つめる彼女はコレット嬢。

 つ い先日ちょっと変わった調理道具の調合に成功した、
 と言っていたことを思い出し、僕は甘露煮を彼女に託す。
  ネコ耳をぴこっと動かして嬉しそうに甘露煮を持ち帰る。

 彼女は、方々に食材の調達を手配し、海の食材を集め…
  数日後こんな料理を作った。

 〈再調理7*親子のマレマロマンマ〉食品(6)/31/10/2/塩/海サカナの 肉系。
  海鮮系の素材を使いまくって仕立てたマレマロマ印の親子丼。
  薫り高きは海の潮。

  深海サカナの卵、海底サカナの肉を発酵させて作られたワインを惜しげもなく使い、〈ぷにぷに鍋【ふにふく】〉(スライム状の生物) が、懸命に作り出した一品。
 素材値が17も上がり、素材ランクが2ランクアップし6となった。
  マレマロマさんとそのお仲間をいっぺんに味わえる豪華さ。
 そして、美味しいものをつくりたいっ、という彼女の心が
  素直に現れた料理と言えるだろう。

 

第八章 双黄 月の実力(ウェルナ教授)

  コレット嬢のこだわりで、加工値が跳ね上がった料理。
  これをさらに加工したがるツワモノは広い学院を探しても、そうそういないだろう。
 はて、どうしたものかと悩 むコレット嬢。
 ふと、そのとき、若い女性の黄色い声が聞こえる。
 そちらに目をやれば、そこにはウェルナ教授 の姿……

 そして、数日後…

 なぜか僕の元に、こんなものが届いた。

  〈再調理8*イチヤ干し〉食品(6)/31/10/2/塩/【双黄月】作。海サカナの肉系。
  エンカ諸島の漁港イチヤには、魚介類 の干物造りに独特の手法があるらしい。
  ウェルナが知っている理由は謎。

 こっそり袋を 開けて覗けば、特有の磯の香り………?
 というよりは、少し腐敗したような匂いもする。
 独特手法でつくった干 物、なのだろうか。
 危険なので、とりあえず、きっちり蓋をしておいた。

 「親子のマレマ ロマンマ」が一夜にしてただの魚の干物へ。
 元素材のマーマンの影はどこにも見当たらない。
 いったい、どんな 調合をしたのかと。
 さすが上級錬金術師といったところか。

 それにしても、なぜ僕のとこ におくってくるんですか、教授…
 こんなレポートを書いているから、首謀者と思われているのだろうか…

 and so on…


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